高岡商工会議所青年部50周年に会長を務められた、私の中では「THE会長」の本林克拡さん。高岡石材工業さんで社長として腕を振るっておられます。男気たっぷりの人柄から生まれる石の新商品、その挑戦についてお話を伺いました。
★本林さんのお仕事ってどんなお仕事ですか
墓石やモニュメントの石を加工する仕事をしています。
★その中で、今高岡らしい新商品を開発されているとのことですが?
高岡の人気スポット「雨晴海岸」から採れる岩崎石を加工し、新商品を開発中です。
雨晴海岸 PHOTO by Ichizo Kubo
★岩崎石?初めて耳にしました!
岩崎石は雨晴海岸にゴロゴロある石のことです。古城公園の石垣にも使われているんですよ。見てください、この美しい縞模様!
岩崎石の縞模様
★わー!綺麗ですね!こんな綺麗な石が高岡にあるなんて知りませんでした。古城公園の石垣にも使われるなんて身近な石だったんですね。どうしてまたこの石を商品化しようと思いついたんですか?
義経と弁慶の銅像を伏木駅に移設する仕事を請け負った際に、土台となっていた岩崎石を切断する機会がありました。これまでは切断したことがなく気付かなかったのですが、その断面の縞模様の美しさに驚いて心に残っていたんですよね。その後も歌碑の作成等のご縁があって、地元の人がいかに岩崎石に愛着をもっているかを知る場面に遭遇し、この雨晴の景色の一部にもなっている石をなんとか使えないだろうかと考えました。
義経と弁慶の銅像(伏木駅)の土台には岩崎石が使われている
岩崎石を使った歌碑
★なるほど、高岡の景色を切り取ったような素材なんですね。
ただ、通常扱う石に比べるととても脆い素材なんですよ。通常の石は溶岩が固まって時を経て石になりますが、岩崎石は各時代の砂が堆積し地層になったものなので、一般的な石とは根本的に違います。砂の塊なので脆いんですよね。端からぽろぽろ崩れてきてしまう。本当に難しくて、どこまで自然な美しさを生かせるか、どう強度を上げるか等、試行錯誤の日々です。こんな危うい素材を商品化するなんてどうかしてると思っている人もいると思います。笑
岩崎石の切削加工風景
★そんなに難しいんですね。具体的にどのような商品展開になるんですか?
今はまだテストの日々ですが、展示用のプレートや食器、箸置き等の小物類の他、内装用の壁装材等考えています。何より食器のハードルが高いんですよね。衛生面や強度、クリアしなければならない課題が多いもので。プレートも厚ぼったいとかっこ悪い、薄いと強度が足りない・・・。バランスを吟味しているところです。
一番使っていただきたいのは内装の壁面です。縞模様の美しさが一番活かせる気がしています。他県からも問合せを受けたりしていて、皆さんのご意見を聞きながら一つずつ形にしていきます。
岩崎石の箸置き
某ラーメン店のディスプレイにも岩崎石が!
★課題が多い中、それでも挑むモトさん、さすが、かっこいいです!
柄の美しさに加え、何より面白いのはその石に込められた「ストーリー」だと感じています。難しい素材ではありますが、この高岡の歴史が刻まれた美しい素材をなんとか形にして高岡らしさを発信できる商品に仕上げたいですね。
最後まで男気溢れるカッコいい本林さんでした。高岡のストーリーが詰まった「岩崎石」、商品に仕上がる日が待ち遠しいですね。
この記事へのコメントはありません。